長期熟成の旨み
八丁味噌
合資会社野田味噌商店/愛知県豊田市
2022年6月号掲載
木桶で長期熟成された天然醸造のコク・香り・旨みの3拍子がそろった逸品
東海地方で味噌といえば豆味噌が常識。関東をはじめ全国で食べられている、米・大豆・塩を原料とした米味噌、九州や中国・四国の、麦・大豆・塩を原料とした麦味噌に対し豆味噌は米も麦も使わず、大豆と塩のみ。麹を根づかせた「豆こうじ」を使い、熟成期間が1~3年と手間もかかる。そんな豆味噌の中でも、愛知県岡崎市を起源とし、細かな基準を満たした味噌のみが名乗ることができるのが八丁味噌だ。
トヨタ自動車の企業城下町として知られる西三河の豊田市。このまちの人たちに「地元の味噌蔵の…」と話を振ると、ほとんどの人が即座に「桝塚味噌ですね」とこたえる。創業以来、木桶仕込み・長期天然醸造の味噌づくりを守り続けている野田味噌商店のブランドだ。
「伝統は守り、変えるべきところは変える」というのは3代目の野田清衛氏。ことばの通り、豆味噌造りの特徴でもある仕込みの前段の工程は、今や工場内の自動化作業。必要なところは効率化を進めて、重労働の職人の負担を軽減している。しかし、ここから先の仕込みは、熟練の蔵人の技と使い継がれてきた木桶と川石が活躍する。長いものは150年も現役を続けるという大小400個の木桶に味噌が仕込まれる。大きいものは10~12tもの味噌を一度に仕込み、その上に3tほどの川石の重しをのせる。ちなみにこの川石は木曽川中流付近の角がとれた玉石が最適なのだが、今はもう採石ができないため、昔の石を大切に使っているそうだ。
こうして1年半以上熟成させてできる八丁味噌は美しい赤茶色をした赤味噌。他の味噌と違って、煮込んでも香りが飛ばず、むしろ煮込めば煮込むほどおいしくなる、煮込み料理と相性のいい味噌なのだ。
トヨタ自動車の企業城下町として知られる西三河の豊田市。このまちの人たちに「地元の味噌蔵の…」と話を振ると、ほとんどの人が即座に「桝塚味噌ですね」とこたえる。創業以来、木桶仕込み・長期天然醸造の味噌づくりを守り続けている野田味噌商店のブランドだ。
「伝統は守り、変えるべきところは変える」というのは3代目の野田清衛氏。ことばの通り、豆味噌造りの特徴でもある仕込みの前段の工程は、今や工場内の自動化作業。必要なところは効率化を進めて、重労働の職人の負担を軽減している。しかし、ここから先の仕込みは、熟練の蔵人の技と使い継がれてきた木桶と川石が活躍する。長いものは150年も現役を続けるという大小400個の木桶に味噌が仕込まれる。大きいものは10~12tもの味噌を一度に仕込み、その上に3tほどの川石の重しをのせる。ちなみにこの川石は木曽川中流付近の角がとれた玉石が最適なのだが、今はもう採石ができないため、昔の石を大切に使っているそうだ。
こうして1年半以上熟成させてできる八丁味噌は美しい赤茶色をした赤味噌。他の味噌と違って、煮込んでも香りが飛ばず、むしろ煮込めば煮込むほどおいしくなる、煮込み料理と相性のいい味噌なのだ。
Profile:合資会社野田味噌商店
1928(昭和3)年、味噌の委託加工専業として個人創業。2年後に味噌製造を始めた。現在は3代目の野田清衛氏と息子で4代目の好成氏が共同で代表を務めている。好成氏は地元と東京などで味噌造り教室も開いている。