人にも地球にもやさしい

のぶしな玄米珈琲
炭農家うえの/長野市信州新町信級
2023年6月号掲載
炭焼き職人がつくり出したやさしい味わいの玄米珈琲
深いコクと米の甘み、ノンカフェインのやさしい苦み、長野県信級の炭焼き職人がつくり出したやさしい味わいの玄米珈琲がある。長野県長野市の信州新町・信級地区、人口わずか130人ほどの山の中腹にある小さな山村。2010年にこの地に移住、炭焼きと稲作農業を営みながら玄米珈琲の生産を始めた「炭農家うえの」の植野翔氏が生み出した逸品だ。原料となる米の栽培から始まり、炭焼き、玄米の焙煎まですべての工程をこなしている。
原料の玄米は、厳選した信級産玄米を使用。全て手作業で焙煎される玄米珈琲は、炭焼き後の窯の余熱、遠赤外線によって焙煎される。全方位から遠赤外線が降り注ぐ炭窯焙煎が玄米をサクッとフワッと煎り上げ、コクと香りの成分がその空隙に閉じ込められ、深い味わいがうみ出されるという。「焙煎器を窯から出すタイミングがとてもシビア」なのだそうだ。ちなみに約1時間の焙煎の後、窯から取り出すベストなタイミングはわずか20秒ほどだとか。
炭出しの度に試行錯誤を繰り返し、辿り着いた独特の風味のある優しい味わい。黒い液体は香ばしい香りとコクのある味わいが口の中に広がり、そのあとに米の甘味がじんわりとやってくる。心と体と地球にやさしい山奥からのメッセージ、カフェインレスで、妊娠中の人や子どもにも安心なのもうれしい。
Profile:炭農家うえの
大学時代に自給自足に興味をもった植野氏が、信級の炭焼き職人との出会いをきっかけに移住を決意。2010年に信級に移り住み、玄米珈琲の生産を開始。植野氏自らがこだわって育てた米を、変化する炭窯と対話しながら、全て手作業で炭焼きの余熱を利用し焙煎、一連の生産工程でCO2排出ゼロ~CO2を固定している。「鯨」をモチーフにロゴデザインは昭和13(1938)年、信級周辺の山中で掘された化石・世界最古のセミクジラ属・シンシュウセミクジラにちなんだもの。